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ストーマを造設する病気
ストーマを造設する可能性のあるがんの早期発見と予防










ストーマを造設する可能性のある癌の早期発見と予防


太田 昌資(太田クリニック 院長)

ストーマを造設する可能性のある癌と一口にいっても、直腸・肛門癌などの消化器外科領域、前立腺や膀胱癌などの泌尿器科領域、子宮癌などの婦人科領域と幅広くあります。もちろんストーマもコロストーマ、ウロストーマ、イレオストーマのほかにも一時的ストーマなどあらゆるストーマになる可能性があるわけです。それぞれの癌の特徴や症状を知り、検査方法が分かれば早期発見につながるわけです。
ここでは、主な癌を取り上げその特徴・症状・検査方法、そして早期発見につながる検診のあり方などを述べたいと思います。

(T)癌の症状
A:消化器領域
1)直腸癌
近年、結腸癌とともに増加傾向がみられる癌です。結腸癌と比べるとやや男性に多く見られます。初期はすべての癌がそうであるように無症状です。
早期症状として血便、肛門出血など痔核と同じような症状です。痔核のある方も一度は腸の検査が必要な理由がこれです。次に便が細くなったり、排便後すぐにまた便意を感じるようなら要注意です。便秘や肛門部痛も多く見られます。放置すると腸閉塞にまで進むこともあり、早めに検査を受けましょう。
検査は、下部でしたら指一本肛門から挿入する(直腸指診)だけでもわかることがあります。詳しく見るためには直腸鏡や大腸内視鏡、お尻からの造影検査(注腸造影)などがあります。これらの検査に抵抗がある方でも最低、検便で血液が便に混じっていないか調べてください。これも出来たら2日以上続けて検査したほうがよいでしょう。

2)肛門癌
ストーマになる確率がかなり高い癌です。全大腸癌の3〜5%を占めています。
肛門部の腫瘤、肛門部痛、出血などが多い。
検査は直腸指診・肛門鏡が重要で、内視鏡や造影検査ではかえって見落とすことがあります。
特徴的なのは、痔瘻に合併することがあることです。特に10年以上痔瘻がある場合は注意が必要です。

3)結腸癌
基本的にはストーマになることはないのですが、進行して腸閉塞などになり緊急手術で一時的ストーマになる可能性があります。
症状は便秘、お腹が張る、腹痛などがありますがほとんどが進行した症状です。早期発見には、現時点では便潜血の検査しかないでしょう。2回ないし3回連続して便を採取し血液の混入の有無(便潜血)を調べるのです。陽性ならば大腸内視鏡、注腸造影検査などで調べます。早期の確定診断には大腸内視鏡で生検する必要があります。早期癌なら内視鏡手術で治療が終了することもあります。
では、便潜血検査や内視鏡検査は100%確実に診断できるかというと残念ながらそうはいきません。内視鏡検査はかなり確率は上がって癌の場所によっては100%近くまで行きますが100%ではないのです。検査の頻度は最後に述べますが、調子が悪ければ早めに検査を受けるようにしてください。
B:泌尿器科領域
1) 膀胱癌
泌尿器科領域では一番頻度の多い癌。男性に多く、化学物質の暴露など職業性や喫煙などが危険因子にあげられる。症状は血尿がほとんどで、目で見えるものや、顕微鏡でわかるレベル(潜血尿)まで様々ある。痛みなどを伴わないのが特徴です。ただ、身体を動かした後の尿には潜血が要請になることが多いので、潜血尿の検査は朝一番の尿がよいでしょう。
進行すると尿管が詰まり腎臓が張れる水腎症になり、腰から背部の鈍痛を感じることがあります。両方の腎臓がやられると腎不全となり、むくみや全身倦怠感などが出てきます。
一般に膀胱鏡検査でわかります。そのほか広がりを知る上で造影検査なども必要になってきます。

2) 前立腺癌
男性のみに見られる癌です。最近は血液検査と細胞検査で早期発見が多くなっています。症状としては前立腺肥大と同じで、排尿に勢いがなくなり時間がかかる。頻尿になるなどがあります。
検査は直腸指診、血液検査、細胞診などでわかります。早期なら内視鏡手術で治療可能です。
C:婦人科領域
婦人科領域の癌では子宮癌、外陰部癌などが直腸肛門に広がってきて肛門を温存できなくなりストーマになることがあります。かなり進行した場合が考えられるので定期的な検診で早期発見に努めましょう。
最近では子宮頚癌の予防接種が行われるようになってきており、自治体によっては補助もありますので一度調べてみるとよいでしょう。
(U)早期発見
いずれの癌も早期発見でストーマや生命の危機を回避することが可能です。前記の症状があれば早めに医師に診てもらうことが大事ですが、症状が出る前に定期的健診をお勧めします。
ではいつ頃からどれくらいの頻度で検診を受ければいいのか?一般的に癌検診は40歳頃からですが、早期発見を心掛けるなら30歳代でも早すぎることはありません。当然症状があれば20代でも検査を受けるべきでしょう。
検診の頻度は公的な検診は経済的な問題で1年に1度ですが、これは90数%ほどの安全性を担保しているだけです。つまり毎年100人検診を受けていても1人か2人は進行癌で見つかる可能性があると云うことです。医学的には半年に1度は検診するのがベストでしょう。
1年に1度は公的な検診を受け、半年後に自費で人間ドックに入る。健康のためにはこれくらいの出費が必要だということです。
(V)予防
癌の予防に決め手はありません。しかし、欧米型の食生活で大腸癌が多いのはわかっています。また、喫煙が癌の危険因子であることも周知されています。
繊維の多い日本食は大腸癌の予防にはよいでしょう。ただ、すべての病気にいえることですが、ある食品はAの病気にはよいがBの病気の危険因子になることがあります。結局バランス良く、適量を食べストレスをなるべく残さず、適度な運動と禁煙とありふれた言葉しかありません。でも、これって結構難しいですし確実に予防できるわけじゃないですよね。定期的な検査が一番というお話でした。
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